と言うことで関係ない映画の話

千年女優 [DVD]

千年女優 [DVD]

30年前に、表舞台から姿を消した伝説の大女優・藤原千代子。インタビューに答えて、自らの生い立ち、そして秘められた恋を話しはじめた彼女だが、その実体験と、出演した映画のシーンがいつしか混ざり合う…。
PERFECT BLUE』で気を吐いた今敏監督の、劇場用長編第2作。『PERFECT〜』は現実と妄想が交錯するサイコスリラーだったが、同様の枠組みをよりポジティブ、かつ、切ない方向に昇華させたのが本作だと言える。
戦前、戦後を通じて活躍した女優の一代記に、時代劇や怪獣映画、SF映画などのシーンが目まぐるしく絡み、時空を越えた恋物語に、観客もいやおうなしに巻き込まれる。そのここちよい酩酊感! 90分という上映時間が終わっても、もう少しその中にいたかったと思えるほどだ。
何よりノスタルジアをかきたてられる時代考証が見事。平沢進P-MODEL)による音楽も印象的にシーンを盛り上げる。スピルバーグ率いるアメリカのメジャー配給会社「ドリームワークス」が世界配給を決定したのも納得の傑作だ。

とにかく騙されたと思って皆さん見てみてください。「メタ」と言うのは簡単です。騙し絵的に進んでいくストーリー、構成の妙、そして日本映画への賛歌(なのかな。皮肉じゃないですよね。今監督)。実写でやっても十分に鑑賞に堪えるストーリーをアニメーションによって昇華させていると思います。最近のアニメ嫌いの方も「絵」的にも抵抗ないと思います。平沢進の手による音楽も「サントラ」だけでも聴きたくなる出来栄えです。この作品を見ると現在の日本映画の可能性はやはりアニメーションしかないのではないかと思ってしまうほどです。