綾辻行人「十角館の殺人」-その②

wakkey2004-09-06

 さて「十角館の殺人」のその②です。

 まず、十角館っていう建物に惹かれましたね。「○○塔の恐怖」見たいな感じで。ってこの小説、この建物じゃなくてもいいんじゃないか。十角館の構造を使ったトリックとかって何もないかと。でも、”十角館”っていう響きの魅力のほうが勝ちますけどね。
 ストーリーの進み具合は、小難しくなく読みやすかったです。テンポが良すぎるかなーとは思うけど、テンポが悪かったら小説を読むこと自体あきらめてしまいそーだし。
 こんな風に書いてますけど、とってもはまってしまいました。
 やはり、あの1行にはやられました。1行の1撃。「えー!えー?」って。思わず読み返しました。今まで本を読んだの中で、こんなにガツンとやられた記憶は無かったです。こんな小説があるなんて衝撃的です。
 次のページの新聞記事が載っているのも、構成としてとてもよかったです。
 ただ・・・、動機がそれかい。いや動機がそれなら、その動機にいたった犯人の生い立ちをもうちょっと書いてくれてもいいかなーと。割とサラッと書いてるし。最後の最後の場面も、そこまでやっといて何でそんなことでと思ってしまう。でも、今の時代なら、この小説の犯人の思考もありかなー。ある意味現代にあてはめるととってもリアルな気がします。
 
 とにかく、あの1行が無ければ「?」ですけど、あの1行のために読んでよかったと思えます。正直な気持ち、小説ってたった1行ですべてを支えることができる(いい表現が無くてすみません)ことに感動を覚えました。今もミステリィ小説を読んでますが、きっかけはと聞かれたら、「十角館の殺人」と答えます。

 すごく面白かったけど、映像化は無理ですね。残念です。こういう小説を叙述トリックというらしいですけど、映像化できる叙述トリックてあるのかなー?

 こんなこと書いていて、ミステリィ上級者の人がみたらとっても怖いです。でもがんばって次は3冊目にいってみよー!