「本陣殺人事件」−その②

wakkey2004-10-01

 「本陣殺人事件」のその②です。

 いやー、面白かったです。最初から最後まで、緊張感を保ったまま読みきりました。金田一のとぼけ具合がさらに緊張感を増して、正直言って何で読んで置かなかったんだろうと悔しくなりました。
 金田一が出てくる作品は、たいてい犯人がわかった後、犯人が自殺やなんやで割と死ぬことが多い中、この作品の犯人(?)の結末は意表をついた(これがデビュー作ですけど・・・)形で、びっくりしたって言うか、犯人ぜんぜんわからなかった。
 今まで読んでいた横溝正史作品を思い出すと文章的に「古臭さ?」的なものはありますし、トリックも実現可能なのかなーと思いますが、はっきり言ってそんなこと関係ないですね。
 いわゆる中篇作品ですが、ちょうどいい文量で、これが長編で書かれていたなら中身も薄くなっちゃうのかな。
 内容、文量、世界観、トリック、結末、すべてベストバランスですね。また他の読んでいない作品も読んでみよう。

 番外
 「百日紅の下で」
 同じ本に入っていた作品で、金田一耕助が戦争から帰ってきて(!!)「獄門島」の直前の事の作品です。
 これも面白かったですね。短編ですけど、金田一の今まで知らなかった魅力があって。ストーリーとしては、徴兵される前にあった事件の関係者の1人から、戦場で事件の真相を託された金田一が、事件のあった家の家主と「語り合う?」作品です。
 金田一の推理は、思うに神がかり的な強引さ、別の表現だと「たまたま」の部分があるのは今回の作品も出てるけど、作品の世界と言うか空気が非常に心地よく、また真相もちょっと感動的で読後感がとてもよかったです。