バイバイ、エンジェルその②

wakkey2004-10-05

 バイバイ、エンジェルのその②です。
 とても面白かったです。というか、感動しました。
 登場人物の設定もとてもよく出来ていて(ただ、最初のうちはカタカナの名前が多くて何度も登場人物表を確認してました・・・)、すんなり作品世界に入っていけました。私はパリに行った事があるので、場面も「ああ、あの辺なんだなー」と懐かしく思い出しながら読んでいました。
 この本の、醍醐味は前半部分のいわゆる「犯人探し」の部分と、後半の犯人との「思想討論(?)」のギャップの差じゃないでしょうか。正直言ってあまりの変化に「同じ本を読んでいるんだよな?」と思ってしまったぐらいです。そのギャップと言うのはカケルの前半の「クールさ」と、後半の「熱さ」ともいえると思います。
 現象学の「本質直感」っていうのは、非常に共感できる考えで「またまた一つおりこう」になっちゃいました。
 犯人に関しては、この人だよなーっていうのはあって、あたってはいたんですが、それは人が当たってただけで、トリックも、また動機も全然わからなかったです。って、この作品の犯人の動機ってわかる人いるんですかねー。いるんだろうなー、上級者なら。
 後半の「思想討論(?)」でのカケルの話がとても「ジーン」ときました。あのカケルがこんな話するなんて、って思うぐらいで「カケル、熱いぜ!」って感じでその熱さ、犯人の情熱、もうー感動しました。
 ラストのナディアのセリフも、情感深く心に残るラストシーンでした。読後感が非常に良かったです。
対テロリストに対する評論をミステリィという形で表されている作品とも言えますが、恋愛や社会の矛盾などを主題にしたミステリィがあるんだから、今の時代むしろこれが主題のミステリィのほうが時代にあっているんではないでしょうか。
 何が悲しいって、この作品を読んだ感想を、こんな風にしかかけない自分が悲しい。
 この作品もまたいつか読み返したいですね。
 ミステリィってすばらしい!!次の笠井潔も絶対読もう!!

 ちなみに「占星術殺人事件」終了!いや良くこんなこと思いつくなー!