12冊目は、島田 荘司 の「占星術殺人事件」-その②

wakkey2004-10-13

 島田荘司 の「占星術殺人事件」その②です。
 いやー、びっくりしました。このトリック。正直言って全く想像できませんでした。
 何故か、それはもう作品冒頭から始まる「梅沢平吉の小説」の内容とその世界観、「アゾート」という怖いもの見たさ(ただそれがとても美しいもなんだろうと勝手に想像もしていました)に心をとられ、きちんと作品を読めなかったからです。
 作品を読みながら「平吉の小説」の実現、「アゾート」の存在に期待してしまっていたからです。そういう意味で言うと、裏切られてしまったのかも知れませんが、まさにそれがトリック。
 今まで読んできた小説の中で「トリック」としては、私としては最も正統派で(オドロオドロしてる部分も含めて)、最も作者を尊敬できるものです。本当によくこんなトリックを思いつくなーと。
 この作品を読んでいる人で「読者への挑戦」までで、犯人の居場所まで読み返しもしないでわかる人がいたら、なんかもったいないなーと思います。もし、挑戦に勝てるのが上級者ならいつまでも初心者のままでいたいなー、そのほうが得しそうだなー、安い客でいたいなー、なんて。
 そうそう、ネットで見ていると、漫画の「金田一少年の事件簿」って言う漫画で、この作品と同じトリックが使われているという事なので、漫画を読んだ後この作品を読んだ人ももったいないなーと思います。
 これだけ書いてきましたが、もし一言言わさせてもらえるなら、前半の御手洗と石岡の2人だけの会話、長すぎに感じました。なんか息苦しくなってこの作品を読み進めるにあたってそこだけが苦しかったです。
 もうほとんど完璧な作品だと思います。これよりも面白いトリックの作品あるのかなー?この先そんな作品に出会うのを楽しみに読書を進めます。